今年のお盆は,コロナの影響で今までとは違った過ごし方になそうです。新しい生活様式に合わせて,お寺さんはお経を野外で行ったり,YouTube でのライブ配信を検討したりと,何かご先祖様には申し訳ないような気がしますね。
お盆の時期に、故郷(ふるさと)に帰ると、離れて暮らしていた兄弟姉妹の家族が集まり、親たちは今どうしているとか、昔はこうだったとか、子どもにはつまらない話で早く遊びに出たかったとか,亡くなった大おじいや大おばあの写真、仏壇の前に並んだお供え物やお線香と田舎の匂いが、記憶として浮かんできます。
ところで,ご先祖様をお迎えするためのお供え物は、その地方の風習や宗派によって違いますが,きゅうりやナスに足をつけて飾ってあったのを思い出します。
今では、代も替わり、そんな飾りをする家も少なくなってしまったかもしれません。
子どもの頃は、ただ変なものとしか感じませんでしたが、大切な意味がありました。これは、ご先祖様の乗り物で「精霊馬(しょうりょううま)」と言います。
きゅうりで作った物は「馬」を表していて,これに乗ってご先祖様が早く家に着くように,また,なすで作った物は「牛」を表していて、あの世に帰られるときに、ゆっくりと帰っていただけるように用意したものなんです。
へたのある部分が頭になりますので,お迎え用のきゅうりは頭を仏壇に向けて,お帰り用のなすは逆にお尻を向けて置くのが決まりです。
他にも、お供え物は、しきたりに囚われず、ご先祖様が好きだった花や食べ物を飾ればいいと思います。どんな形であれ,ご先祖様や故人に感謝を伝え、冥福を祈ることが大切なのではないでしょうか。そして、そういう気持ちを繋いでいって欲しいものです。