安倍総理が16日,退任してからすでに1週間,「安倍政権を振り返って」の7回目です。皆さん,もう少しお付き合いくださいね。今日は「財政再建」についてです。
2008年に起こったリーマン・ショック。日本も日経平均株価は一時7000円を下回るほどの影響を受け,その後も,株価は低迷を続けました。
2012年,第2次安倍政権になると,「デフレからの脱却」「富の拡大」を目指し,「アベノミクス」という経済政策を発表しました。これは3本の矢と言われる政策です。
第1の矢は「大胆な金融政策」,日銀が大量の通貨を発行して,市場に流通するお金を増やすことで,円安にしたことです。そして,日銀によるマイナス金利政策で,民間銀行が日銀にお金を預けると損をするから,企業の融資にお金を回すように仕向けたわけです。
これにより,経済を回復させました。
第2の矢は「機動的な財政政策」,大規模な経済対策予算による政府の公共投資拡大でした。また,消費増税に対応するための対策も打ち出し,デフレ脱却と財政健全化の両立を目指しました。
第3の矢は「民間投資を喚起する成長戦略」,規制緩和・制度改革等によって経済構造改革を行い,民間企業や個人が活躍できる社会を作ろうとしました。例えば,女性が就業するための支援,海外からの人材受け入れ,「国家戦略特区」の創設,農業改革,電力改革,ビザの緩和による外国人旅行者の招致,経済連携を目的とした「TPP11」(環太平洋パートナーシップ協定)の実現などが挙げられます。
安倍政権が目指したものは,財政再建と経済成長の両立だったのです。
2014年4月8%,2019年10月10%の消費増税・財政出動の不足により,国内総生産GDP成長目標3%が達成できなかったとは言え,過去に比べれば,アベノミクスは景気と雇用状況を回復し,生活実感の向上にも効果があったと思います。
しかし,「コロナ・ショック」により,再び経済が混乱してしまいました。「安倍政権の継承」を掲げる菅総理は政権課題として,「感染拡大防止と経済活動との両立」を挙げています。その政策に期待したいですね。