9月29日(火) 自ら命を絶つこと

数多くの映画やドラマで活躍していた女優の竹内結子さんが、27日未明に40歳の若さで亡くなりました。7月には三浦春馬さん、914日には芦名星(あしな せい)さんの突然の訃報もあり、私たちもショックは隠せません。

竹内さんはストイックでプロ意識が高く、ナイーブな人柄だったそうです。コロナによって女優としての仕事に対する不安、1月に生まれた男の子の子育てが原因だったのかもしれません。

 

こういったことは、一般の人たちにも言えることで、コロナによる感染の恐怖、失業や賃金カットなどの経済的不安、行動自粛による孤独感、あるべき大切なものを失う喪失感、これらによって心身のバランスを崩して引き起こされる「コロナうつ」の状態が自殺の要因になっている可能性は大きいと思います。

 

8月の自殺者数の統計では、全国で1849人に上り、昨年と比べて246人も増えています。愛知県では、HRで紹介されたように「県民の皆様へ」という知事緊急メッセージが届きました。また、相次ぐ芸能人の死に対して、後追い自殺を防ぐために、報道の在り方として「過度に繰り返さない」「自殺手段について明確にしない」「場所の詳細を伝えない」「感情を煽る見出しを使わない」といった要請が出されています。

 

ところで、報道が使う表現に「自殺」「自死」があります。「自殺」は、その多くが追い込まれた末の死、つまり、様々な要因が重なり合った過程で起きてしまった行為を表します。しかし、「自殺」という言葉の印象に「あの人はああだったから」「やっぱりね」と特別視して、その個人への偏見を感じる場合があります。そこで、どんなケースでも命を落としたなら同じ「死」と捉え、「自死」という表現が定着し、例えば「大切な人を自死で亡くした方」といった配慮した表現が広まっています。

 

昔から、日本人の悪いところは「人に迷惑はかけられない、厄介にはなれない」という心理が自然に働いてしまうこと。「悪く思われたくない」と、頑張り過ぎてストレスをため込んでしまうこと。心身の不調をきたしても、我慢して精神が参ってしまうこと。

「自死・自殺」を防ぐために、こういった状態を早期発見して、問題解決を支援する体制が必要です。私たちにできることは、相手を孤立させないこと。共感しながら、話をじっくり聞いてあげること。解決できなくても、そういった存在があることが支えになるのです。だから、声にすることができない人を感じ、まずは話しかけることが大切なんですね。