今日は,国語世論調査のうち,3つ目の項目「敬語に関する言葉遣いに対する印象」について紹介します。
今から言う8つの言い方は気になるかどうかという質問だったのですが,どうでしょうか。
1「先生は講義がお上手ですね」
2「就職はもうお決まりになったのですか」
3「誠に申し訳なく,深く反省させていただきます」
4「規則でそうなってございます」
5「昼食はもういただかれましたか」
6「お客様がまいられています」
7「お歩きやすい靴を御用意ください」
8「こちらで待たれてください」
皆さん,違和感を覚える言い回し,いくつもありましたよね。実は,この8つとも敬語の使い方としては,誤りなんです。調査結果でも,前回と比べてすべてに「気になる」という答えが増えていました。一番気になる言い方が「規則でそうなってございます」の81.5%です。
では,何がいけないのか,解説してみます。まずは「先生は講義がお上手ですね」
別に問題なさそうですが,目上の人を評価するような言い回しになっているためNG
「就職はもうお決まりになったのですか」 主語の就職に対して尊敬語を用いているためNG
「誠に申し訳なく,深く反省させていただきます」 これは難しいかも…
謙譲語の「させていただく」は,相手の許可を得たうえで,それによって自分に恩恵があるかどうかが使い方の条件ですから,この場合は使えません。反省は自分に対してのものだから謙譲語の「いたしましす」を使い,「反省いたします」となります。
「規則でそうなってございます」 これはダメ。「ございます」は「あります」の丁寧語です。普通に言ったら「規則でそうなってあります」になっちゃいます。「います」の丁寧語「おります」を使って,「そうなっております」が正解
「昼食はもういただかれましたか」 これはもう,いただけませんね。
「食べる」の謙譲語の「いただく」に尊敬の助動詞「れる」がくっついて,おかしな日本語になってします。「食べる」の尊敬語「召し上がる」を使って「召し上がりましたか」が正解
「お客様がまいられています」 これもさっきと同じで謙譲語の「まいる」と尊敬の「られる」が使われています。お客様に対して尊敬語「いらっしゃる」を使わなくっちゃね。
「お歩きやすい靴を御用意ください」の「お」は一般的に使わないでしょ。あえて言うなら,「お歩きになりやすい靴」
「こちらで待たれてください」 「~してください」という敬語を使うときの定型句は「お~してください」,つまり「お待ちください」です。どうでしたか。正解は分かりましたか。