10月2日(金) 国語世論調査3

一昨日,昨日と国語世論調査について紹介してきましたが,最後に「新しい表現」と「慣用句」についての調査結果を報告します。

 

新しい表現では,「婚活」のように何かの活動を表す「~活」,「パワハラ」のようにハラスメント(嫌がらせ)の種類を表す「~ハラ」は,ともに「自分は使う」が50%以上,「他人が言うのは気にならない」が80%以上で,広く定着していることが分かりました。

特に,セクハラ・パワハラ・モラハラなどの言葉の浸透は,人の行動規範に対する考え方を前進させるのに貢献しました。

 

慣用句の意味を選ぶ質問は,「手をこまねく」「敷居が高い」「浮足立つ」の3つが出題されましたが,3問とも本来の意味とは違う答えを選んだ人の方が多い結果になりました。

皆さんも考えてみてください。

「手をこまねく」は,①何もせずに傍観している,②準備して待ち構える どちらでしょう。

答えは①「何もせずに傍観している」でした。

「敷居が高い」は,①相手に不義理などをしてしまい,行きにくい,②高級すぎたり,上品過ぎたりして,入りにくい 答えは①「相手に不義理などをしてしまい,行きにくい」

最後に,「浮足立つ」の意味は,①喜びや期待を感じ,落ち着かずそわそわしている,②恐れや不安を感じ,落ち着かずそわそわしている 答えは②,3問とも正解できた人は素晴らしいですね。

 

しかし,文化庁は本来の意味と違う答えを間違いと捉えず,新しい使い方の広がりと考え,正解はひとつとは限らないという認識で,コミュニケーションに障害が生まれないようにしなければならないと見解を述べています。

確かに,正しい日本語を知っておくことは大切です。しかし,それは今の正しい日本語であって,例えば,「あわれ」という言葉は,今は一般的に「かわいそう」という意味で使われますが,昔は「しみじみとした趣」「素敵な」「物寂しい」などを表していました。まさに,時代の流れとともに言葉も意味も変化していて,正解はひとつとは限らない,本来の意味に縛られない自由な表現もありかなと思います。