10月15日(木) ノーベル賞2

昨日はノーベル賞のことに触れました。ノーベル賞の受賞者は,「文学賞」は1人と決まっています。他の賞も基本的に個人に授与されますが,複数での共同研究などの場合は3人まで同時受賞することができます。また,「平和賞」については,団体の受賞が認められていて,過去には1999年に国境なき医師団,2017年にICAN(アイキャン)と呼ばれている核兵器廃絶国際キャンペーンが受賞しています。

 

今日は,その「平和賞」について,話します。

今年のノーベル平和賞は,国連WFPが受賞しました。WFPとはWorld Food Programmeつまり,世界食糧計画という国際連合の機関です。この機関は,世界各地で飢餓をなくすために食料支援を行っています。この国際貢献が受賞の理由です。

 

WFPが多国間で活動するためには,莫大な資金が必要で,それは各国からの資金提供に依存しています。しかし,今,アメリカ・ファーストという言葉で代表されるような自国第一主義に見られる国際機関軽視の動きから,国際協調の意識が薄れてきています。WFPの受賞は,そんな状況をけん制して,多国間主義の重要性を再度認識させ,継続的な人道支援活動の必要性を示したものになりました。

 

ところで,このWFPの活動は,2015年国連サミットで採択された「持続可能な開発目標(SDG)」の2番目の目標「飢餓をゼロに」に合致しています。豊かで恵まれている日本では考えられないような飢えと貧困に苦しんでいる人がたくさんいて,世界の9人に1人が十分な食料を得ることができていないそうです。

 

特に,栄養不良から病気になり,命の危機にさらされる子どもたち,貧しさから学校に通えず,それが故に貧困から抜け出すことができない社会。そういった国の子どもたちへの支援として,WFPは,「学校給食プログラム」を実行しています。無料で給食を提供することで,子どもたちの命を守るとともに,親たちは子どもを学校に行かせる動機になり,子どもたちが学ぶ機会を広げることにつながります。

 

このプログラムを持続させるために,ちょうど今,「世界食料デーキャンペーン2020」と銘打って「ゼロハンガーチャレンジ」を展開しています。これは91日~1031日まで開催していて,食品ロスを減らす取り組みをSNSに投稿すると,1投稿につき120円が,寄付協力企業より国連WFPに寄付され,学校給食支援に役立てられるというものです。

食品ロスをなくして,飢餓をゼロにする取り組み,参加してみてはいかがですか。

奇しくも明日1016日は,世界の食料問題を考える日「世界食料デー」です。