皆さんは,もうひとつの「ノーベル賞」があることを知っていますか。物理学や化学分野でノーベル賞に次いで権威のある「ウルフ賞」,医学分野の「ラスカー賞」,数学の「アーベル賞」…じゃなくて,「イグノーベル賞」というものです。
今日は,この「イグノーベル賞」について紹介します。
「Nobel」の前に「Ig」という言葉がついていますが,これは後ろの単語を「~ではない」と否定する接頭辞で,「Ig Nobel prize」つまり「ノーベルではない賞」となります。
米国ハーバード大学系出版社が発行している科学ユーモア誌「The Annuals of Improbable Research」(風変わりな研究年報)が主催しているもので,1991年に創設されました。
本家のノーベル賞と同じく,物理学,化学,生理学・医学,文学,平和,経済学があり,さらに,年ごとに変わる賞も加わって,毎年10個の賞があります。授賞式は例年,ハーバード大学のサンダース・シアターで行われますが,今年は日本時間の9月18日,リモートで行われました。日本はこの賞をなんと14年連続で受賞したんですよ。
選考基準は「人を笑わせ,考えさせること」,ゆるゆるの賞ですが,想像力をかきたて好奇心いっぱいに研究された業績を讃え,人々を楽しませてくれるノーベル賞のパロディーです。受賞式もユニークで,オープニングでは紙飛行機を舞台にめがけて投げ,スピーチはたったの60秒で笑いを取ることが必要です。でも,スタッフとして働いてくれる人が,ノーベル賞受賞者の世界的権威だったりするわけです。
では,日本の過去の受賞内容はというと,「たまごっちの研究」で経済学賞,匂いで危険を知らせる「わさび警報装置の開発」,「たまねぎで涙が出てくる仕組みの研究」で化学賞などがあります。たまねぎの研究では,その後,ハウス食品から生でも食べれる「スマイルボール」という商品が生まれました。
今年は,音響学賞を他国と合同受賞したのですが,「ワニも人間と同く声道の共鳴によって発声することを発見した」ことが受賞理由でした。私たちにとっては,無駄で意義のわからない研究かもしれませんが,それを真面目に追求している姿を想像すると,どうでもいいようなこと,その中に何かを見つける楽しみを感じている生き方っていいなと思えてきます。
ところで,来週から学園祭に向けて,クラス発表などに十分取り組んでもらうための時間割となっています。皆さん協力して,盛り上げてください。というわけで,来週の瞑想の時間はお休みになります。