11月17日(火) 木枯らし

日本は四季豊かで,その中で暮らす人々は,自然の姿の移り変わりに,いろいろな名前をつけて,その様子を表現してきました。雲,雨,風などたくさんの種類の名前を持っています。

例えば,秋,野の草を分けながら吹きすさぶ強風のことを「野分(のわき・のわけ)」と呼びますが,これは台風のことをいいます。

 

これからの季節では「木枯らし」という風もありますね。

「こがらしの堪へ難きまで吹きとほしたるに,残る梢もなく散り敷きたる紅葉を,…」これは「源氏物語」第49帖「宿木」の中の一節です。1000年以上も前に「木枯らし」は存在していて,私たちの心になんとなく物悲しさを与えてきました。

 

「こがらし」は,かざがまえの中に木と書いて「凩」と漢字ひと文字で書くこともありますが,「木を枯らす」と書いたほうが語源を表していてシックリきます。実際に木を枯らすわけではありませんけどね。

 

ところで,「木枯らし1号」という言葉があることを知っていますか。その年に最初に吹いた木枯らしのことをいうのですが,関東地方と近畿地方だけに発表されるため,東海地方では馴染みのない言葉ですね。

気象庁では,時期は関東と近畿では少し違いますが,概ね「10月中旬~11月末,西高東低の冬型の気圧配置になった時に吹く,北寄りの風速8m/s以上の風」を木枯らしの条件としていて,今年の木枯らし1号は,関東114日,近畿1023日だったそうです。

 

寒い季節の始まりを意味する「木枯し」ですが,その言葉の持っている語感から,冬の寒風のイメージが離れません。

そういえば,「かきねの垣根のまがりかど…」で始まる童謡「たきび」の三番が「こがらし木枯らしさむい道…」でした。きっと,この頃「木枯らし」のこと覚えたんだと思います。