10月26日に召集された第203回臨時国会は,12月5日に会期末を迎えました。9月16日に発足した菅内閣の初の国会で,総理の所信表明演説や各党の代表質問が行われ,新型コロナウイルスのワクチン確保に関する法案や,日本とイギリスの経済連携協定の承認などが審議されました。
野党は,「日本学術会議」が推薦した会員候補6人を菅総理が任命しなかった理由や経緯などを追及しましたが,「任命権者として適切な判断」で,「人事については答えを控えたい」とこれまでの主張を繰り返すのみでした。
菅総理は4日,事実上の国会閉幕を受け,記者会見をしました。会見は実に就任以来2ヶ月半ぶりのことです。その内容を簡単にまとめてみました。
まずは,コロナ感染拡大と医療体制のひっ迫について,「国民の命と暮らしを守る。これが政府としての最大の責務」と述べ,医療関係者の人的確保,影響を受けている方への具体的な経済支援を改めて明言しました。しかし,「Go Toイート」や「Go Toトラベル」については,現在までに取られた対策を紹介するにとどめ,新たな対策が打ち出されることはありませんでした。
ワクチン接種の無料化を柱とした改正予防接種法成立については,「安全性,有効性を最優先としつつ,円滑に接種できるよう準備に万全を尽くす」とのことです。
来年前半までに全国民分のワクチンを確保する方針で,アメリカの製薬会社ファイザーとモデルナからは「mRNAワクチン」,イギリスのアストラゼネカからは「ウイルスベクターワクチン」を合わせて1憶4500万人分の供給を受けることで基本合意しています。
これらのワクチンは,ウイルスの遺伝情報をヒトに投与し,体内でウイルスのタンパク質を作らせることで免疫を誘導する遺伝子ワクチンです。人工的にウイルスの遺伝情報を含むDNAやRNAの遺伝子を合成するので,短期間に大量のワクチンが作れるという利点がありますが,実績に乏しく,持続効果もわかりません。
私たちは,副反応の危険性があることも踏まえ,ワクチンの評価をしっかりして,接種していく必要があると思います。