12月17日(木) カーボンニュートラルを目指して

2050年,脱炭素社会という目標に向かって,どんな課題があるかを考えてみたいと思います。菅総理は「環境対応は経済成長の制約ではない」と言って,脱炭素を目指すことで,技術革新を呼び,雇用と成長を生み出すことを期待しています。つまり,環境対策と経済成長を結ぶ鍵が,技術開発とその変化に伴う新しい価値観というわけです。

 

脱炭素社会を実現するためには,エネルギー政策を転換していかなければなりません。石油・石炭・天然ガスなど化石燃料に頼った化石エネルギーから太陽光・風力などの再生可能エネルギーを主力電源に変えていく必要があります。

 

最近トヨタが発表した燃料電池自動車のように,再エネの2次エネルギーとしての水素を新たなエネルギー源と位置づけた研究開発が進んでいます。水素は,水から作られ水に戻るクリーンエネルギーです。また,再エネから発電した電気を貯める低コストの蓄電池の開発も重要です。

こういった技術開発とともに,再生可能エネルギーを活用促進するために色々な規制を緩和することが求められます。

 

次に,「2兆円の基金創設」によって企業を支援すると言っていましたが,2050年のゴールに向けて,もっと多額の財政を確保しなければならないという課題があります。

2012年10月から,化石燃料のCO2排出量に応じて,石油石炭税に上乗せする形で「地球温暖化対策税」が課せられていますが,財政確保のためにその税額の引き上げが考えられます。あるいは,海外で導入されている環境税や炭素税の新設もあり得るわけです。

 

しかし,人類がいくら30年後の「カーボンニュートラル」を目指そうと技術が進歩しても,人の意識が変わらなければその目標に到達することはできません。現に省エネを進めてきたにもかかわらず,CO2削減はほんのわずかでした。それは,省エネ技術の効果以上に私たちが生活の快適さを求め,エネルギーを消費してしまったからです。地球環境が劇的に変化することはないからこそ,少しずつでも私たちは危機感をもって生活をしていかなければなりません。