1月7日(木) 鏡開き

皆さん,改めて「明けましておめでとうございます」

コロナ感染が拡大する中,取りあえず,無事に年明けを迎えられたことをお祝いしたいと思います。皆さんはどんなお正月を迎えましたか。

私は地区の氏子係の役をもらっていましたので,大変でした。

神社のしめ縄を付け替えたり,門松を飾ったり,鏡餅などのお供えをしたり…

大晦日の夜は,除夜祭で火を焚きながら,参拝に来る地元の人たちにお酒や甘酒を振る舞い,元旦には新年祭を営みました。宮司さんをお迎えして,お祓いをしてもらい,穢れを心身から取り払ってもらいました。

穢れは病気やケガも含まれますが,「人の気が枯れる」という意味もあって,それを祓ってもらうことで,平穏な年を送れるようにお祓いを受けました。

神様が祀られている祭壇の前で,祝詞(のりと)を聞いていると,厳粛な独特の雰囲気になり,非日常となったその空間に身を委ねている自分を強く感じることができました。

 

ところで,正月飾りの門松,自宅に飾る人は少なくなってきたと思いますが,この門松はお正月にお迎えする年神様に「ここにきてくださいよ,ここですよ」と目印にするためのものだそうです。

門松の飾りには,その名のとおり,松が使われていますが,他にも縁起物の竹や梅が使われています。

松は寒さ厳しい冬でも緑を保ち,竹は成長が早く,まっすぐに伸び,梅は長い冬に耐えていち早く花を咲かせることから,中国では「歳寒三友(さいかんのさんゆう)」と呼ばれていて,それが日本に伝わって,お祝い事に「松竹梅」として使われるようになったそうですよ。

ちなみに,日本では「松竹梅」というと,松が一番上で,次が竹,並みが梅というランク付けがされてしまっていますが,これは松が縁起のよい木と考えられるようになったのが平安時代からで,竹は室町時代から,梅は江戸時代からといわれ,時代順から松・竹・梅の順番になっているという説があります。

しかし,松も竹も梅も優劣はありませんし,どちらかといえば可愛らしい花をつける梅が一番のような気がしますよね。

 

次に正月飾りといえば,しめ飾り。しめ飾りは門松と違って,家の玄関などによく飾られます。しめ縄に縁起物の飾りをつけたもののことですが,これは神様が宿る場所と現世を隔てる境界線の意味を持っています。現世の不浄なものから神様の場所を守るための結界がしめ縄なんです。

玄関にしめ飾りを飾ることで,神様をお迎えすることができるんですね。

 

年末,氏子のみんなで大きいしめ縄,小さいしめ縄,全部で5本,地元の神社に飾りました。メイン担当だった私は,しめ縄につける「紙垂(しで)」を神妙な気持ちで作りました。「紙垂」って分かりますか。しめ縄に付いている白いひだひだの紙のことです。これにも意味があって,しめ縄に垂らすことで神聖な場所であることを表します。実は作りすぎて,来年の分まで作ってしまいました。余りを来年のしめ縄に使うのはマズイかもしれませんね。

 

さて,前置きがながくなってしまいましたが,今日皆さんに伝えたいお話は,「鏡開き」という昔から続くお正月の行事のことです。

昨年は,始業式の日に講堂で楽しく鏡開きをしましたが,今年はコロナのせいで,それができません。残念ですが,ここでは鏡開きの由来や意味のお話をしますね。

 

お正月にやってくる年神様は,豊作を祈る穀物の神様で,家に飾られた鏡餅がその依り代と考えられていました。年神様が訪れることで,その家に良運と1歳分の年を与えられるとされてきたんですね。

鏡餅は丸い形をしていますが,これは昔の鏡に由来しています。大小重ね合わせるのは,月と日を意味していて,縁起がよいものとされていました。

年神様が家にいる期間を「松の内」といって,かつては15日までだったようです。

年神様を見送ったら,年神様が宿っていた鏡餅を食べることで,霊力を分けてもらい1年の無病息災を願う行事が「鏡開き」です。

 

武家社会では,甲冑の前にお供えをして,お正月明け20日にお餅を食べる風習だったそうですが,江戸時代三代将軍,徳川家光が420日に亡くなると,月命日の20日の祝い事を避けるようになり,幕府は松の内を7日までと定め,11日を鏡開きの日としました。

 

関西では今でも15日までを松の内として鏡開きを15日または20日に行うところがありますが,松の内を7日までとする多くの地域では,11日に鏡開きを行っています。

 

鏡開きのやり方としては,鏡餅を包丁などの刃物は使わずに木槌などで割るのがしきたりとなっています。それは刃物で切ることは切腹を連想させるためで,ただ「割る」という言葉も縁起が悪いので,末広がりを意味する「開く」を使って「鏡開き」と呼ぶようになったそうです。

 

しかし,普通の家庭に木槌があるとは思えませんし,カッチカチになった鏡餅を割るなんて簡単ではありませんね。ようは切らなければいいわけですから,水につけてふやかして,電子レンジでチンすれば,柔らかくなります。チンする時間には注意してください。パックの鏡餅も同じ要領です。

柔らかくなったら,手やスプーンでちぎってお雑煮やお汁粉にしましょう。

鏡餅は特別なお餅,供えるだけでなく,開いて,食べてこそ意味があるもの。残さずきれいに食べることが大切です。

 

1月11日は「鏡開き」。日本の伝統的な行事を楽しんでみてくださいね。