2月22日(月)日本4

 「日本」と書いて「にっぽん」と「にほん」,どちらの読み方が正しいか知っていますか

 お札には「NIPPON GINKO」と書いてあるけど,「にっぽんご」とはほとんど言いませんよね。

 答えはどちらも正解です。

 

 「やまと」を「にっぽん」「にほん」と言うようになってから,近代以降も両方が使用されていますが,日本の関東軍が起こした「満州事変」により,世界から孤立の道をたどる中,軍国主義と連動して,言葉の響きの強い「にっぽん」であるべきだという動きが起こり,1934(昭和)NHKは「放送上,国号としては『にっぽん』を第一の読み方とし,『にほん』を第二の読み方とする」と暫定的な決定をしました。それからすぐに,文部省が,「にっぽん」に統一して,外国語表記もJapanを廃して,Nipponを使用することを決議しました。

 

 しかし,帝国議会では採択には至りませんでした。

 1951年(昭和26)には,再びNHKが「正式の国号として使う場合は『ニッポン』,その他の場合は『ニホン』と言ってもよい」という決定をしています。

 2009年(平成21),日本政府は「読み方については,いずれも広く適用しており,どちらか一方に統一する必要はない」と閣議決定がされ,現在に至っています。

 

 NHKでは,世論調査などを踏まえて,放送用語の読み方の変更が行われています。

 2015年(平成27)に,「日本~」の読み方についての変更が記されていますが,一般名詞だと絶対こちらと決められているケースは少ないのです。

 

 さて,「にっぽん」と「にほん」を意識して使い分けていた人は,少ないと思いますが,感覚的に「にっぽん」の「ツ」という促音や「ポ」の破裂音は,勢いを感じさせます。しかし,語感上の印象ですが,「にほん」の方がソフトで使いやすいですよね。「にっぽん」が外的に感じるのに対して,「にほん」は内的に安心感を覚えて奇麗な言葉のように,私は感じます。

 

 以前,「ニッポンを取り戻す」という自民党のCMがありました。自信を失っていた「にほん」を再び強い「にっぽん」にするといった意味合いがあったのですが,かなり意識的な使い方で,敏感な人は大日本帝国をイメージして,抵抗感をもった人もいたようです。

 ちなみに,前の天皇,明仁上皇(あきひとじょうこう)は一貫して「にほん」と読んでいます。