日本の国旗は,「日の丸」と呼ばれていますが,正式には「日章旗」といいます。
イメージは太陽で,農耕民族であった日本人にとって,生命の源である太陽は,信仰の対象で大切な存在でした。世界の国旗を調べてみると,月や星の図柄の方が多いのですが,これは夜に現れる月や星が安らぎの象徴として扱われているからでしょうね。
さて,日本で太陽をかたどった旗が使われるようになったのは,大化の改新以降で,続日本紀(しょくにほんぎ)と呼ばれる文献に,「文武(もんむ)天皇が,701年朝賀(ちょうが)の儀で,会場の飾りつけに日像の旗を掲げた」と記録が残っていて,これが日の丸の原型といわれています。
しかし,歴史的にみても,世界の中で太陽が赤で描かれることは少なく,太陽は黄色または金色,それに対して月は白色または銀色で表すのが一般的でした。日本でも,『平家物語』などの記述などから,平安時代末期の頃までの「日輪」の表現は通常「赤地に金丸」であったと考えられています。
現在のデザインになったのは,一説には源平合戦(治承・寿永の乱)の結果が影響していると言われています。この戦いで,平氏は朝廷の御旗にちなんで「赤地金丸」を,源氏は「白地赤丸」を掲げて戦いましたが,平氏が滅亡し,源氏によって武家政権ができると「白地赤丸」の日の丸が天下統一を成し遂げた者の象徴として受け継がれていったと言われています。
正式に国旗として定められたのは,1999年(平成11年)「国旗及び国歌に関する法律」が公布されてからで,旗の縦横の比率や円の大きさが決まり,日章の色は「紅色」となりました。ちなみに,紅色は博愛と活力,白色は神聖と純潔を意味するそうですよ。
ところで,最近,「国旗損壊罪」という言葉を耳にします。日本を侮辱する目的で日本国旗を傷つける行為を罰する刑法改正案だそうで,「表現の自由」を制約するおそれがあると話題になっていますが,愛国心とは何かを考えさせられる問題ですね。