今日,3月11日は2011年に起きた東日本大震災から10年の節目になります。いろいろなメディアが,当時を振り返って,その経験を教訓に次世代につなげるための報道を行っています。10年前のことですから,皆さんの記憶に残っているか分かりませんが,この日はちょうど2年生の修学旅行の最終日で,名古屋駅に迎えに行く途中,揺れを感じました。その後,津波により町が飲み込まれ流されていく様子を何度もニュースで見たことを覚えています。
東日本大震災は,2011年3月11日14時46分頃に発生。震源は三陸沖で,日本国内観測史上最大規模のマグニチュード9.0,最大震度7を観測し,関連死を含めた現在までの死者は,約2万人と言われています。
地震によって引き起こされた大津波,それによる電源喪失で福島第一原発の事故も発生しました。未曽有の災害により被災者は避難生活を余儀なくされ,原発事故の検証では,その安全対策の甘さが指摘されました。
この10年で,道路・鉄道・宅地造成などインフラの整備が進みました。そして政府は今後10年を「第2期復興・創生期間」と位置づけ,地震・津波被災地域では「復興の総仕上げ」,原発被災地域では「本格的な復興・再生」に取り組んでいくそうです。
私たちは,この大災害を振り返ることで,「食料・生活用品などの備蓄」「災害に関する情報の入手方法」「避難場所の確認」など,そのときに備えてやっておくべき大切なことがたくさんあることを再認識しなければなりません。
また,被災地のこれからの大きな課題としては,さらなる「被災者支援」,遅れている農林水産業の回復や観光の振興といった「産業の再生」が挙げられます。それに伴い,風評の払拭も大事な課題のひとつです。
さらに,原発廃炉・汚染水の処理があります。汚染水には「トリチウム」という放射性物質が含まれていて取り除くことが難しく,その処理には基準以下に薄めて海に放出する方法が検討されていますが,再び風評被害が起きたり,海水汚染が心配されるなど社会的影響が大きくなると懸念されています。
もうひとつは,原子力防災の在り方です。原発事故を引き起こした東京電力は,安全対策について「過剰なコスト負担」を理由に,十分な対策を行っていなかったことが被害を大きくした原因でした。しかし,原子力規制委員会が事故を教訓にして策定した,原発を再稼働するときの厳しい基準の中に,原子力防災の項目は含まれていません。
あと,将来のエネルギーとして原子力を利用していくのかどうかという問題です。政府は2050年までに温室効果ガスをゼロにする方針を示しましたが,原発をどうするかの議論は進んでいません。
いずれにしても,日本は自然災害に遭いやすい国です。先月13日夜には,東日本大震災の余震とされるM7.3,福島・宮城で震度6強という大きな地震もありました。近い将来発生するといわれている「南海トラフ地震」は,私たちの生活に壊滅的に打撃を与えます。
亡くなられた方のご冥福を祈るとともに,過去を教訓にして,防災について考え備えることが重要です。