3月15日(月)花の数え方

 先週,桜の開花予想の話をしましたが,近くにある公園の桜も,ずいぶん蕾がふくらんでいました。日本の花といえば桜ですが,奈良時代では梅が人気だったようです。今では,自然の中のひとコマだけでなく,お花屋さんに行けば,四季折々の花が並び,大切な人へのプレゼントだったり,私たちの生活を彩ってくれたりと,花は人の気持ちを豊かにしてくれますね。

 

 そんな花たちの数え方とは…いろいろあることを知っていますか。

 お花屋さんで売っている花なら,切り花や鉢物,それとフラワーアレンジメントがありますね。切り花の場合,茎の数で表して一本と数えます。花束にしたら,一束ですね。鉢物なら一鉢とか,フラワーアレンジメントのようにカゴに入っているものは一個・ひとつという数え方でいいです。花の苗のように,根っこの付いた花を数えるときは「株」です。

 きっと,これくらいのことは知っているぞといった感じですよね。

 では,生け花ならどうでしょうか。生け花を数えるときは一杯(いっぱい)・一瓶(いっぺい)・一点(いってん)となります。

 

 ここまでは,花の用途で数え方が違うことを紹介しましたが,花のつき方や状態でも数え方を使い分けしています。

 例えば,蕾は一個・ひとつで,花が咲くとその咲いている花自体を一輪と数えます。

 「一輪のバラ」なんていいますよね。かすみ草のようにひとつの茎にたくさんの小さな花をつけているときは一個とかひとつです。

 

 また,数輪の花がまとまっている状態を数えるときは「房(ふさ)」が使われます。「花房」という言葉がありますよね。

 枝に咲いている小さな花のかたまりを数えるときは「朶()」という数え方が使われます。聞きなれない言葉ですが,「朶」は木の枝が垂れるという意味で,一朶(いちだ)が無数に集まった状態を「万朶(ばんだ)」といいます。ちょうど満開の桜を「万朶の桜の花」なんていうんですよ。

 あと,花畑などのように群れになって,たくさんの花が咲いている状態を「一叢(ひとむら)」と数えます。

 

 ところで,桜の花は散る姿も私たちの心を揺さぶります。花びらの数え方は一枚ですが,舞い散る花びらは「一片(ひとひら)」と数えます。日本人ならではの風情のある表現ですね。

 「桜散る」で思い出したのは,「桜散る散る 嵐山」というフレーズが出てくる南こうせつの「加茂の流れに」という楽曲,懐かしいな。