啓明学館高等学校 学校生活

教員紹介

川田 珠代

担当教科:英語

「心のしなやかさ」を学ぶ


 現在、学年主任2年目。気が付くと20年以上もこの学校で教鞭をとっている私の携帯はスマホではなくガラ携です。学校行事等でクラスの集合写真の撮影を頼まれ、スマホを渡されてもうまくシャッターがきれず、ぶれていたりして、よく生徒たちから叱られます。

 そんな訳で、LINEやツイッターなどSNSによる人間関係のつながりに時代の変化を感じている今日この頃ですが、20年間変わらず、生徒たちに言い続けていることがあります。それは、「今ある環境の中で、楽しみを見つけられる人になってほしい」ということです。

 生徒たちを見ていると、全く同じ環境の中で生活していても、「愚痴を言う名人」と「楽しいことを見つけられる名人」がいることに気づきます。「愚痴を言う名人」は、よくもまぁ、そんな些細なことにも反応できるなぁと思うほど、文句を言うのが得意です。「私ばっかり注意される」「こんなクラスだから楽しくない」「学校なんてつまんない、面倒くさい!」

 一方、「楽しいことを見つける名人」は、こう言います。「勉強が分かるようになったら面白くなってきた」「○○さんにサプライズしたいから、先生協力して」「最後だから、クラスのみんなで○○したい!」みなさんはどちらの名人と友達になりたいですか。また、どちらの名人が幸せな人生を歩んでいけると思いますか。答えは明快ですよね。

 「愚痴を言う名人」は、楽しくないのをいつも何かのせいにし、自分のことしか考えない、誰かが何とかしてくれるのをただじっと待っている依頼心が強い人です。こういう人は、どんな環境にいても、無いものねだりで結局は満足できないのです。それに対して、「楽しいことを見つける名人」は心の柔軟な人です。

 本当の喜びを得るためには、面倒くさいことも引き受ける覚悟をもっています。だから、他の人が嫌がって避けるようなことを「私がやる」と買って出てくれます。そういう人には、自然と仲間が集まってきます。応援してくれる人が増えていきます。結果的に、面倒くさいことも「やりがいのあること」に変わってくるのです。

 高校生活の中には、友達関係や進路のことで悩む場面もきっと出てくるでしょう。「友達に裏切られた」「行きたい大学に合格しなかった」「好きな人にふられた」など、思いがけない不運に見舞われるかもしれません。しかし、そんな時でも、心が柔軟な人は、思いっきり悲しみ、傷ついた後、それまで見えなかったものを見ようとします。辛い経験をしてはじめて他人の悲しみや人の優しさに気付けたと、それまでの人生を見直し、人間的に成長していくのです。

 そんな生徒たちの成長を見守っていけることは教師としての大きな喜びです。だからこれから先も、彼女たちが内面のしなやかさかを身につけ、幸せな人生を歩んでいけるよう、手助けしていきたいと思っています。

掲載日 平成29年2月