もう,皆さんもご存じのとおり,現地時間の1月20日正午前,日本時間の21日午前2時頃,アメリカの首都ワシントンで,大統領就任式が行われました。
今月6日,トランプ大統領の支持者たちが,連邦議会に乱入して死傷者を出した事件があり,厳戒態勢が敷かれる中,異例の式典となりましが,民主党のジョー・バイデン氏が,連邦議会議事堂前に設けられた式場で,聖書に手を置きながら「大統領の職務を忠実に遂行する」など宣誓を行い,第46代大統領に就任しました。
その後,就任演説では,落ち着いた口調ながらも,はっきりした意思を伝えるための言葉をもって,国民に語りかけている様子が印象的でした。
その中で,バイデン大統領は,「アメリカの結束」を掲げ,これからのアメリカの課題と決意を述べましたが,78歳という大統領史上,最高齢であることの心配,死者が400万人を超えるコロナ対策,1000万人を超える失業者を抱えた経済対策,トランプ政権下でのアメリカ分断やアメリカ第一主義から国際協調への回帰など,課題は山積みです。
一方,2回目の弾劾訴追を受けているトランプ前大統領の動きが注目されていましたが,就任式には参加せず,バイデン氏に宛てた手紙を大統領執務室に残したそうです。
前任の大統領が,後任の大統領に向けて助言をしたためるのは,米国の伝統的な慣習の1つだそうですが,バイデン大統領は,トランプ前大統領からの手紙が「思いやりのこもった」ものであったと明らかにしています。
また,トランプ氏は現地時間の19日午後,国民に対して,お別れのメッセージを発表しており,大統領としての4年間を「最高の名誉と誇りだった」と振り返り,新たな政権に対しては,「アメリカの安全と繁栄の継続が成功するよう願っている」とエールを送っています。ただし,今後も政治活動に関わっていく可能性を示唆する言葉も残しています。
就任式を欠席したトランプ氏は,ホワイトハウスを後にして,別荘のあるフロリダに向かったわけですが,不正選挙だと根拠のない訴えを起こしたり,SNSで支持者を扇動するような書き込みをしたりで,政策も偏っていて,やっぱりとんでもない人物だったと思います。
しかし,去り際には,格好をつけ,支持者に見送られたトランプ氏。もし身近にそんな豪放で頼りになる人物がいれば,好きになる感覚もわかる気がします。