2月5日(金)コロナ関連法改正1

 新型コロナウイルス対策の根拠となる新型インフルエンザ等対策特別措置法や感染症法などの改正案が1日,衆議院を通過し,3日,参議院本会議でも可決,成立しました。

 

 これらの法案は即日公布され,13日施行,10日間の周知期間が設けられました。

 改正の理由は,支援と行政罰をセットで規定することで,コロナ対策が,より実効的なものになるようにするためです。

 

 行政罰の内容を簡単に説明しますと,改正特措法は営業時間短縮命令を拒んだ事業者に対して,緊急事態宣言下で30万円以下,「まん延防止等重点措置」下で20万円以下の過料を科す。改正感染症法は入院拒否をする者に対し50万円以下,疫学調査を拒否する者に30万円以下の過料を科すというものです。

 

 今日は,特措法と呼ばれる新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正について話します。そもそもコロナなのになぜ新型インフルエンザ等対策なのかというと,当初,コロナウイルスの危険度がはっきりわからなかったため,感染症法の分類上,指定感染症に暫定的に位置づけられました。そして,その対応を法律に求めたとき,一番手っ取り早かったのが,平成24年に作られた「新型インフルエンザ等対策特別措置法」だったからです。

 この法律の附則で,指定感染症であるコロナを特例として,適用することができるよう決めたのですが,その期限は2年間の限定でした。そこで,今回の改正で,コロナを「新型インフルエンザ等」に含まれるものとして,恒久的に特措法を適用できるようにしたわけです。

 

 この改正の柱のひとつは「まん延防止等重点措置」を新たに設けたことです。国が出す緊急事態宣言では広範囲でさまざまな制限がかかってきます。そうなる前段階で,都道府県知事が事業者に対して営業時間短縮の協力要請し,従わない場合,命令を出すことができ,それでも従わない場合,20万円以下の過料を科すことで強制力を持たせ,地域限定の感染防止措置が行えるようになりました。緊急事態宣言解除後の感染状況に応じて,まん延防止等重点措置に移行することも可能としています。

 

 しかし,もうひとつの柱である事業者支援等は具体性に乏しく,付帯決議の中でも「経営への影響の度合い等を勘案」といった表現にとどまっています。また,宣言や重点措置で罰則を受けない「正当な理由」というものも曖昧のままで,施行までに本当に明確に示すことができるか疑問です。罰則を伴い,私権制限を強める改正ですから,恣意的な運用がなされないよう,私たちは意識していかなければなりませんね