さて,今日は,現在のコロナ感染の状況を大きく改善してくれると期待されるワクチンについて,話したいと思います。
日本は,新型コロナワクチンの開発が遅れていて,当面,アメリカのファイザー社とモデルナ社,イギリスのアストラゼネカ社から,ワクチンの供給を受けるよう契約していることは以前に話しましたね。
最初に届くのがファイザー製ワクチンですが,日本で新薬を使用するためには,薬を創ったら毒性や薬理作用の研究などを経て,健康な人や患者を対象とした臨床試験を行います。
その結果をもとに,承認申請を出し審査を受けて,承認されることで使用が可能になります。新薬開発から認可まで,本来なら9年~十数年かかるのですが,今回のコロナワクチンは海外開発のワクチンで緊急性があるため,短時間で国内外の臨床試験結果を踏まえて,承認審査が行われています。
ファイザー製ワクチンは,日本での治験を10月から始め,12月18日に承認申請が出されました。来る2月15日に承認許可の予定です。アストラゼネカ製も8月下旬から国内治験を実施,先週2月5日に承認申請が出されました。モデルナ製は,1月21日から治験を始めたところです。
ところで,ワクチンついて生物を勉強した人は知っていると思いますが,簡単におさらいしておきます。細菌やウイルスなどの病原体が体に入ると,それをやっつける抗体ができます。やっつけると言っても,マクロファージや好中球やキラーT細胞と連携するのですが…
私たちの体は,その病原体のことを覚えていて,再び入ってきても,すぐに抗体を作って病気にかからない,重症化しない「免疫」というしくみがあります。
ワクチンは,病原体を弱毒化・無毒化して病原性を失くした上で,接種してからだに免疫をつくる物質です。安全性や有効性をコントロールしてワクチンを接種することで,感染,発症,重症化を予防する効果が期待できるわけです。臨床試験からその有効性はファイザー製が最終結果で95%,モデルナ製とアストラゼネカ製は中間結果ですが,それぞれ94.5%,70%と高い数値を示していることからも,今回のワクチン接種が重要であると感じます。明日は,さらにワクチンの特徴について伝えたいと思います。