コロナ対策の中で出てくる「三密を避けましょう」という言葉,よく耳にしますね。
三密の密とは,「密閉」「密集」「密接」です。
しかし,それ以前に仏教の世界では,三密という言葉が使われています。
仏教は,人々が苦しみから解き放たれ,健やかに生きていくための教えを説いたものですが,日本には,大乗仏教として「顕教」と「密教」があります。
仏教の教えでは,身(からだ),口(ことば),意(こころ)の3つの働きで,私たちの生活は成り立っていて,私たちがとる行い,口から発する言葉,怒り妬み責める心が,苦しみを生むことから,「顕教」は煩悩に覆われた身口意の三業(さんごう)と言われています。
よく「業が深い」と良くない意味で使われていますよね。
しかし,真言密教の開祖 空海は,この3つのはたらきによって生じるすべての事象は大日如来の現れで,人も大日如来と一体になるために,3つの働きによって現実の世界の中でどう過ごすかを説いています。
この3つの働きによって人がとる行動を密なるものとして,「身密」「口密(くみつ)」「意密」の「三密」と呼びます。
修業して解脱するとか,成仏して極楽浄土へとか,凡人ではなかなかイメージできませんが,みんなを大切に思い,考えて言葉を発し,行動することが私たちの暮らしの中で,三密を実践することになるのですね。