9月23日(水) 内閣総理大臣6

さて,今日は安倍前政権での「外交」について話します。皆さん、まだやるのと思うでしょうが,外交問題は避けて通ることができない重要な問題です。

 

日本の外交は安全保障と密接な関係があることは,ご存じのことと思います。

その中で,第1次安倍政権が掲げていた「自由と繁栄の弧」という考え方に基づいた「自由で開かれたインド太平洋構想」があります。

安倍前総理は20078月,インド国会の講演で「二つの海の交わり」と題して,「太平洋とインド洋という2つの大海を自由の海,繁栄の海として,広々と開き,どこまでも透明な海として豊かに育てていく力と責任がある」と呼びかけました。

 

2次安倍政権では,日本・アメリカ(ハワイ)・オーストラリア・インドをQUAD(クアッド 四角形の意味)と呼び,「セキュリティダイヤモンド」構想を提唱し,中国の脅威に対抗した外交戦略として明確にしました。

2016年8月のアフリカ開発会議の基調演説で,「日本は,太平洋とインド洋,アジアとアフリカの交わりを豊かにする責任を担っている」として「自由で開かれたインド太平洋戦略」を明らかにしています。

後に,ASEANの中心性と推進力を維持する考えから,「戦略」ではなく「構想」という言葉に変わっていき,「自由と法の支配」「経済的繁栄」「平和と安定」をビジョンとして,地域諸国との協調を主とした外交へと展開しています。

 

安倍前総理は,日中関係の改善にも取り組み,条件付きですが,中国の一帯一路構想を支持し,ある程度,中国との関係を修復しました。また,トランプとの良好な関係を築き,アメリカのインド太平洋戦略に影響を与えました。

しかし,中国を牽制して多国間で共同戦線をつくるために,QUADの枠組みをNATOのような国際機構にする構想を,アメリカのビーガン国務副長官が述べています。

日本はアメリカと中国の狭間で,どのような外交をしていくのか,その対応が大きな課題です。

 

安倍前総理は,その長期政権によって,安定した外交手腕を発揮ましたが,ロシアとの北方領土問題や北朝鮮の日本人拉致問題,慰安婦や徴用工にまつわる日韓関係の歴史認識問題について,解決できず,先送りとなってしまいました。