9月30日(水) 国語世論調査1

文部科学省の外局である文化庁から,2019年度「国語に関する世論調査」が925日に発表されました。これは1995年度から毎年実施されている調査で,「日本人の国語に関する意識や理解の現状」を調べ,「国語施策の立案に役立て,国語に関する興味・関心を呼び起こすこと」を目的にしたものです。

 

今回の調査では,「国語に対する認識」「外国人と日本語に関する意識」「敬語に関する言葉遣いに対する印象」「平成22年の常用漢字改訂で追加された漢字の印象」「新しい表現に対する印象や慣用句の認識と使用」という5項目,13の問いの結果が発表されました。

毎年,調査結果が発表されるたびに,慣用句や熟語の本来の意味や使い方とは違う認識について報道され,話題になっています。

今日は,この国語世論調査の一部を紹介します。

 

最初に,「国語に対する認識」ですが,「国語が乱れているか」という問いに,「乱れていると思う」と答えた人は66.1%,「乱れていないと思う」と答えた人は30.2%でした。この質問は1999年度から5回行われていて,「乱れていないと思う」は当初10.3%でしたが,毎回増えてきているという結果がでました。

その理由として,「言葉は時代によって変わるものだと思うから」「多少の乱れがあっても,根本的には変わっていないと思うから」「いろいろな言葉や表現がある方が自然だと思うから」が選ばれています。

 

これは,日本人の国語に対する意識の変化の表れで,SNSなどの普及で個人が情報発信するようになったことで,多様な表現に触れる機会が増え,個性的な言葉を許容して受け止めるようになったためと分析されています。

 

一方,「乱れていると思う」と答えた人の理由で一番多かったものは「敬語の使い方」次いで「若者言葉」でした。特に10代の人の答えが「若者言葉」に集中しています。これは,意識して使い分けができているということでしょう。国語が乱れていると自覚しながらも,新しい言葉をつくり,それを楽しんでいる現代の若者のノリの良さが感じられる結果ですね。