1月25日(月)バイデン氏新政権誕生2

 日本では,18日から通常国会が開幕しました。3割台まで下がった内閣支持率に,早くも菅首相は正念場を迎えていますが,最大の同盟国アメリカもバイデン新政権が動き始めました。今日はその政策などを紹介します。

 

 外交・安全保障の分野では,トランプ政権下でアメリカ第一主義の姿勢から国際協調や同盟関係を重視する方針への転換を掲げ,国際社会で再び主導的な役割を果たすとしています。早々に,離脱した地球温暖化の国際的な枠組み「パリ協定」に復帰,イスラム教徒の入国禁止解除,メキシコ国境沿いの壁の建設中止,厳しい移民政策の見直しなどの大統領令に署名しました。

 対イラン政策では,これもまたトランプ政権下で一方的に離脱した核合意に復帰する考えを示しています。イラン核合意とは,イランが核開発を制限する見返りに,国際社会が制裁を解除する取り決めのことです。また,中国への対応も最重要課題に掲げています。

 

 次に経済・貿易の分野では,200兆円規模の経済対策を実現したい考えです。アメリカは規模が違いますね。海外で生産された製品に追加の税を課すなどの「メード・イン・アメリカ税制」の導入も公約に掲げ,雇用の保護につながる施策を重視していく方針です。

 トランプ政権が導入した関税の大幅な引き上げや,自国優先の貿易協定などの保護主義的な政策をどこまで見直すのかも注目されます。

 

 最後に内政問題ですが,コロナ対策を最優先課題と位置づけています。

 

 まずは,政府が管理する施設でのマスク着用の義務化や拘束力はない100日間マスクチャレンジ」,世界保健機関(WHO)脱退撤回の大統領令を出しています。そして,就任後100日間でワクチン1億回分を接種できるようにする方針です。

 また,これが政権を担う上で,一番大きな課題といえる「アメリカ社会分断の解消」があります。

 バイデン氏は,選挙後の勝利宣言でも「分断ではなく,結束を目指す大統領になる」と述べました。まだ根強く残る人種差別,リベラルと保守の政治闘争,経済格差など,それぞれの対立軸が複雑に絡み合い,混沌としたアメリカ社会をどのように融合していくか,バイデン大統領の手腕が問われるところだと思います。