昨日は,ワクチン接種で「免疫をつくって体を守ることができる」といった話をしましたが,良い点はそれだけではありません。家族などの身近な人に病気をうつすのを防ぐことで,感染症の流行が抑えられ,これが地域,国と広がって,社会全体を感染から守ることになります。
これが集団免疫です。現状,厚生労働省が行った抗体検査では,抗体を持っている人が東京0.91%,大阪0.58%,愛知0.54%となっていて,やはり,ワクチン接種で集団免疫をつくって流行を収めることが必要だと分かりますね。
しかし,このワクチン接種をすることに,ためらいのある人が多いのも事実です。それは副反応の存在があるからです。
ワクチン接種には,副反応を伴います。コロナワクチンでは,接種部位の痛み,腫れなどの局所症状が80~89%の人に,発熱,倦怠感,頭痛,筋肉痛などの全身症状は55~83%の人に生じる可能性があると報告されています。これらの症状は1~3日で戻り,重篤な副反応は少ないそうです。
また,人によっては,体に異物を入れることで抗体が過敏に反応してアレルギーが起きることもあります。皮膚や粘膜の異常,呼吸器系や消化器系の異常を生じ,血圧低下で意識を失うなど,命の危険がある反応をアナフィラキシーショックといい,頻度は低いのですが,10万人に1人の割合で発生したという報告もあります。
このケースは,接種後15分程度の間に生じることが多いとされていますから,接種したらすぐに帰らず,休憩をとった方がいいと思います。接種会場では,経過観察するための待機場所を確保し,万が一に備えて投与薬を準備するなどの体制を整えることが重要です。
極めて稀だと思いますが,もし副反応により健康被害に遭ってしまったら,日本では救済制度が設けられていますよ。
コロナワクチン接種の報道に,リスクばかりを強調して不安を煽るメディアがありますが,大切なのは,データに基づいた情報を知り,接種のリスクを正しく理解して,自分で判断することですね。