昨日,SDGsのことに少し触れましたが,ジェンダーに関する問題はまさに「サステナブル」な方向に進んでいかなければならないと思います。「サステナブル」とは,「持続可能な」という意味ですが,それは「子どもや孫の世代がこの地球で暮らすとき,何の制限を受けることなく生活ができ,平和で平等な社会で恩恵を受けることができる」ことです。
つまり,今の私たちのことだけを考えるのではなく,未来に向けた行動をとることが必要であるということですね。
さて,SDGsの5番目のゴール「ジェンダー平等」について,日本の状況はどうなのでしょうか。まず,ジェンダーは男女の性差のことですが,その平等とは生物学的・身体的な性別に対するものではなく,男女の性差にとらわれない社会的・文化的な立場における平等(ジェンダーレス)を指します。
世界の多くの国が,男女平等の社会を目指し取り組んでいますが,男女格差は完全になくすことはできず,多かれ少なかれ問題を抱えています。
この男女格差を測る指標のひとつに,「ジェンダー・ギャップ指数」があります。
これは,政治・経済・教育・健康の4分野から算出されたスコアことで,毎年,世界経済フォーラムがスコアを公表して,各国の取り組みをランクづけしているのですが,2019年12月に発表された「ジェンダー・ギャップ指数2020」によると,日本は153国中121位とかなり低い位置にあることが分かります。特に,政治・経済のスコアはひどく,国会議員や閣僚の男女比,管理職の男女比,女性の家庭における負担が足を引っ張っています。また,伝統的な社会構造,例えば出産による退職などの原因も挙げられます。
国際社会における男女格差の問題は,雇用機会や賃金の不平等,教育格差,政治参加率の低さ,暴力・虐待など女性差別として現れているのが現状です。
日本のジェンダー・ギャップに対する取り組みとして,2016年の「女性活躍推進法」とか,2018年の「政治分野における男女共同参画推進法」などが作られいますが,政府がいくら器を作っても,私たち一人ひとりが,偏見に満ちた考えを改め,理解を深めていかなければ,男女格差を解消することはできません。