6月25日(木) 蛍2

今日は,昨日話した蛍のことをもう少し紹介してみたいと思います。

 

故野坂昭如(のさかあきゆき)の小説が原作で,スタジオジブリ制作の「火垂るの墓」という作品がありますが,「火が垂れる」と書いて「ホタル」と読ませています。「ひ」は他の言葉と組み合わせると母音が変化して「ほ」と読ませることがありますから.ホタルが飛び交う様から,「ひがたれる」つまり「ほがたれる」から「ホタル」と呼ぶようになったという説があります。

 

このホタルは世界中で生息していて,その種類は2000とも言われています。日本では50種くらいで,そのほとんどが一生を通じて陸地で生活します。幼虫が水中で過ごす水生ホタルは、数種類しかいません。

 

ホタルと言えばおしりが光るというイメージですが,実は,卵や幼虫のとき,ぼんやりと光っていて,成虫になると多くが発光しなくなるそうです。成虫になっても発光する珍しいホタルの代表がゲンジボタル・ヘイケボタル・ヒメボタルで,ルシフェリンと呼ばれる発光物質に、ルシフェラーゼという酵素とATPがはたらくことで発光します。ホタルのような生物発光は,効率が非常に高く、熱をほとんど出しません。

 

成虫の発光は,夜行性ホタルの特徴で,求愛行動と考えられています。オスが飛んで発光しながらラブコールを送り、メスがそれに応えて光れば,交尾・産卵をして,お互いの一生を終えることになります。

 

ホタルの寿命は1年くらいで,そのうち成虫のときは2週間程度,成虫になると口が退化してしまうから,幼虫時代に蓄えた栄養を燃やしながら光って,残り短いときに相手を探すホタルに命の儚さを感じます。