昨日は,緊急事態宣言延長のニュースについて,皆さんにお伝えしましたが,その原因は医療体制の逼迫が解消されず,厳しい状況が続いていることでした。
入院を待って自宅療養中の方が亡くなられたり,病院へ搬送したくても受け入れ先がなかったりといった状況を聞くと,日本の医療はどうなっているんだと考えさせられます。勿論,保健所をはじめ,医療関係者の方が自分の生活を犠牲にしてまで,懸命に対応されていることは,誰でも理解しています。
この問題の背景には,国の感染症に対する不備があります。今回のコロナのような感染拡大の状況において,感染症指定医療機関が足りず,一般病院で患者を受け入れなければならなくなりました。日本は人口1000人当たりの病床数(ベッド数)は世界トップクラスだそうですが,国は将来の需要に見合った病床の削減を求め,年々病床数は減少してきました。このため,空き病床が少ない現実があります。
また,感染症の専門スタッフは医師も看護師も少なく,中小の民間病院では当然確保することが困難です。受け入れるにも,コロナ患者と一般患者を分けなければいけませんから設備的な問題もあります。
国は,コロナ感染症患者を受け入れる医療機関への支援金を出していますが,緊急事態宣言を受け,指定された地域の病院では重症者病床で1床あたり1950万円,その他の病床は1床あたり900万円に補助金を拡充し,患者の受け入れ病床と人材を確保するための緊急的な措置を講じました。
先ほど病床数の削減について触れましたが,これは2025年における地域医療構想に起因しています。地域のすべての病院や診療所は高度急性期,急性期,回復期,慢性期のいずれの機能を担うのかを明確化し,それによる役割の分化を図るために機能転換や役割ごとの病床数を求めていたのです。確かに効率的な医療体制の構築につながるのでしょうが,その構想の中で,今回のような有事の際の緊急医療の在り方についても,さらに議論を重ねて欲しいものだと思います。